福岡県議会「子育て支援・人財育成調査特別委員会」の委員長として委員会(副委員長:神崎聡県議)の活動報告を行いました。

 子どもや子育てに係る諸問題は、その要因、背景、影響が複雑多岐にわたるため、長期的、総合的な展望に立った施策の実施が今後も重要です。

本委員会の調査に、熱心にご協力を賜りました委員の皆様、執行部の皆様方に心から深く感謝申し上げ、報告としました。

〈委員長報告〉

 私は、子育て支援・人財育成調査特別委員会の委員長といたしまして、昨年2月定例会におきます中間報告以降、本委員会が取り組んでまいりました調査活動の経過につきまして、その概要を報告いたします。

 本委員会では、「福岡県こども計画」の策定の進捗状況や、その他あらゆる子育て支援並びに子どもの権利の保護および健全育成に関わる取組のほか、働き方改革やジェンダー平等の推進、人財育成に関する取組について精力的に調査してまいりました。

 まず、「福岡県こども計画」策定の基礎資料となる令和5年度の「子育て等に関する県民意識・ニーズ調査」と「青少年の意識・ニーズに関する調査」の結果についてであります。

 執行部からは、結婚や子育てについての県民の意識やこどもの置かれた状況について、回答内容の分析や前回調査との比較結果に関する報告を受けました。

 委員からは、コロナ禍や物価高騰等で、社会環境が大きく変わっている中での調査結果であるが、今後の施策に生かせるのかを質され、執行部から、調査は統計的な観点から5年ごとに継続して実施しており、その時期の社会情勢を踏まえ、トレンドを捉えるような設問や回答を選択肢に入れながら調査を実施し、その結果をこども計画に反映させていくこととしているとの答弁がありました。

 また、委員から、子育ての悩みや不安があるとの回答割合が前回から増加している要因とその解消のため、今後どういった施策を充実させていくかについて質され、執行部から、子どものしつけや教育費用に関する不安が強く出ており、その他にも仕事と家庭の両立など、子育ての悩みや不安は各分野にまたがっている。このため、具体の施策については、関係課と協力して取り組んでまいりたいとの答弁がなされました。

 そのほか、委員から「出会い・結婚応援事業のAIイベント」について、マッチング率が高いことから、参加者増に積極的に取り組むよう要望が出されました。

 次に、「福岡県こども計画」についてであります。

 本計画は、国が令和5年12月に策定したこども大綱を踏まえ、「子ども・子育て応援総合プラン」、「青少年プラン」、「子どもの貧困対策推進計画」の3つの計画を福岡県こども計画に一本化するものであります。

 昨年8月の委員会では、本計画を形づくる4つの柱として、「全てのこどもが持つ権利の保障」、「成長段階に応じたこどもへの支援、未来を切り拓く人財の育成」、「きめ細かな対応が必要なこどもへの支援」、「結婚・子育ての希望をかなえ、こどもを安心して産み育てることができるための支援」を基本的な方向とし、柱に沿って具体的な施策を検討していくとの説明がありました。

 委員からは、等しくどこに住んでも子どもたちの権利を守っていくため、県としてどのように市町村と連携して取り組んでいくのか質され、執行部からは、市町村に対してこども計画策定の進捗状況や、「子育て等に関する県民意識調査」の結果に係るデータ、及び庁内で検討した施策について情報提供し、計画が実行性のあるものになるよう取り組んでいくとの答弁がありました。

 また、本年1月の委員会において、福岡県こども計画の策定について、福岡県こども審議会で審議を重ねて、4つの柱に基づく具体的な施策や数値目標等の計画案を作成し、令和7年度から11年度までの5年間を計画期間とし、「全てのこどもが夢や希望を持ち、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県」を目指す姿として、年度内の策定、公表に向けて取り組んでいくとの説明がありました。

 委員からは、こども計画では、子どもが権利の主体であることを社会全体で理解することが重要であるが、教職員及び児童生徒に対して、どのようにして理解促進していくかを質され、執行部からは、教職員については、令和4年に改訂された生徒指導提要に基づき意見表明の尊重等を周知徹底し、児童生徒については、校則見直しへの児童生徒の参画など、学級活動等の中で子どもの意見をしっかりと受け止めていくことが重要との答弁がありました。

 また、委員から計画にはいろいろな柱があり、細分化して書かれているが、一番大切なのは子どもの権利を守ることであり、それをどう守っていくのか、明確に分かりやすく打ち出すことが必要ではないかという意見が出されました。

 次に、「児童相談所における第三者評価」についてであります。

 令和4年4月に施行された「福岡県子どもへの虐待を防止し権利を擁護する条例」に基づき、昨年度、久留米児童相談所及び宗像児童相談所で実施した第三者評価の結果を踏まえ、児童相談所の困難事例については県の社会福祉審議会児童福祉専門分科会に諮問する仕組みを導入したこと及び福岡県こども意見表明支援センターを設置したこと、また、一時保護所については観察会議の導入に向けて検討すること及びこどもの意向に沿って生活上のルールや日課を見直したことについて報告がありました。

 また、今後も第三者評価で指摘された課題への取り組みを進めて、児童相談所業務の質の向上に努めるとの説明がありました。

 次に、「福岡県いじめレスキューセンターの令和5年度事業の実施状況」についてであります。

 小中高生と保護者を対象に、電話、メール、対面で相談を受け付ける「福岡県いじめレスキューセンター」が令和5年11月に設置されました。執行部からは、センターの介入により、いじめの事実確認や重大事態認定につながった事例もあったことから、今後も関係機関と連携し、いじめの早期発見・解消及び長期化・重大化の防止に取り組んでいくとの報告がありました。

 委員からは、相談したい方に対してどのように事業の周知をしているのか質され、執行部からは、児童生徒に配布されている一人一台端末の活用や、チラシの送付、また、県だよりやPTA連合会の新聞、ラジオ等で周知を行っており、庁内で連携・協力し、今後も機会を捉えて周知に取り組んでいきたいとの答弁がありました。

 次に、「未来をつくる高校生チャレンジの実施状況」についてであります。

 県内の高校生を対象に、地域活性化、社会問題の解決、ワンヘルスの推進の3つをテーマとしたチャレンジプランを募集し、選考委員会により採択された7件のチャレンジプランについて執行部から説明がありました。

 また、これまでの成果や、参加者の感想、今後の主な活動として成果報告会の開催について説明がありました。

 委員からは、成果報告会について、参加した高校生の進路につながるような地元の企業や大学等にも参加してもらったほうがよいと考えるが、県として報告会の案内先についてどのように考えているかを質され、執行部からは、高校生や、学校の先生だけでなく、企業や大学の方にも案内することで、幅広くいろいろな方に参加していただいて、事業の広報や高校生の応援を今後も継続できるように取り組んでいきたいとの答弁がありました。

 また、委員から、この高校生チャレンジの取組だけで終わらず、チャレンジ後も、県としてほかの企業とマッチングするなど、チャレンジ後のフォローにも取り組んでいただきたいとの要望がありました。

 次に、「特別支援学校における特別支援教育推進体制の整備」についてであります。

 執行部から、特別支援学校におけるセンター的機能及び県立学校医療的ケア体制整備事業の概要や、更なる充実のための取組についての説明がありました。

 また、障がいのある子どもたちが安心・安全な環境の下、専門的な指導が受けられるよう事業の一層の推進を図ってまいるとの説明がありました。

  以上、本委員会の調査活動の概要について述べて参りましたが、子どもや子育てに係る諸問題は、その要因、背景、影響が複雑多岐にわたるため、長期的、総合的な展望に立った施策の実施が重要であります。

 当局におかれましては、本委員会での委員各位の意見、要望などを十分に踏まえ、関係各部各課や関係機関との連携を強化し、より効果のある横断的、総合的な施策を実施し、県民が安心して結婚、出産、子育てができるような社会づくりに尽力されることを強く求めるものであります。

 終わりに、本委員会の調査に、終始熱心にご協力を賜りました委員各位、並びに執行部の皆様方に心から深く感謝申し上げ、私の報告といたします。